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全てのダンジョンをクリアしていませんが、それだといつになるかわからないのでレビューを書いてみたいと思います。
1000回遊べるRPGと銘打っているだけあって、システム的に「1」で完成されています。
それだけに、新作を出すなら新鮮味を出す必要があり、ユーザ層の拡大も狙わねばなりません。
前作の「3」でそれに挑戦しましたが、残念ながら失敗に終わりました。
ハッキリ言ってこのシリーズは、遊ぶ層が限られたニッチな作品です。
前作はそれを打破しようとして失敗しましたが、今作はまずは従来ユーザを納得させるものを作って評価を高め、実は新規ユーザにも遊び易くなっていて密かにジワ売れを狙う…。
なんとも野望に満ちた作品になっております。
壺に複数入れた時の挙動や方向ボタン押しっぱなしでの攻撃、仲間を含めてNPCと方向キーだけですれ違えたり、籠屋に話しかける事で全てのダンジョンに挑戦可能など、チュンソフトに寄せられた不満点を一つずつ潰していった感じで、細かな部分で従来ユーザの不満を取り払っています。
同じ事を繰り返すゲームですので、こうしたストレスの除去は欠かせないポイントです。
また、新システムである「昼夜システム」の導入が大成功です。
同じダンジョンでも昼と夜とで異なった立ち回りが要求され、シリーズの新たな軸にもなり得る新システムです。
その代わりに重要だった肉システムが廃止されたのですが、物足りなさは全くありません。
新たにシステムを入れ替えた事で、全員が同じスタートラインにつけた…と言えなくもありません。(ちょっと強引かな)
このシリーズは熟練者と初心者の差が激しく、熟練者には楽々でも初心者は全く進めず、敷居の高さは否めません。
前作ではそれを緩和する事に腐心したのですが、今作はそれとゲームの出来を両立させる事に成功しつつあります。
「成功しつつある」と書きました。
制作側の新規ユーザへの配慮は評価できるものです。
親しみやすくかわいらしい新キャラが多数登場し、舞台も明るい南国です。
また、貴重なアイテムが入手し易くなり、再チャレンジの心理的負担が軽くなりました。
それでいて使い込むと装備品が成長して愛着が湧くので、ロストの喪失感は一番とも言えます。
アイテムは揃えやすいけど、使い込んだ装備は失いたくない…。この両天秤のさじ加減が実に上手いです。
(ちなみに、今作は装備にタグをつけることで、失っても戻ってくる可能性を持たせています。)
この点だけではなく、ゲーム全体のバランスが実に良く練られています。
バランスが命のシリーズだけに、今回は本当に頑張ってくれました。
「成功しつつある」と書きました。
ただ、結果として新規ユーザが増えなければ成功とは言えません。
私自身、ユーザが増えてもっといろいろな人とシレンの話がしたいです。
このレビューがその一助となれば、これ以上の幸せはありません。
【プレイ時間:約70時間】